宮城県内のある学校法人の代表者より、NPO法人くまもと未来ネットへ「半導体企業進出先進地としての状況を知りたい」とのご連絡があり、サポートする事になりました。
日本の半導体再興の国策として3地域(熊本と宮城と北海道)が選定されており、そこへ国の予算が投下されます。
・熊本へはTSMC(世界第一位の半導体生産請負い企業)
・宮城へはPSMC(TSMCとは別な会社で台湾の半導体生産会社)
・北海道はラピダス(日本が新たに興す会社で、IBM等が協力し最先端を狙う)
(参考)PSMC、SBIホールディングスと合弁で宮城県に半導体工場設立を発表
https://www.jetro.go.jp/biz.../2023/11/843b3d9d48573bee.html
午前中約3時間という短い時間なので、先に2022年にYMCAさんで地下水について講義した資料「熊本の水資源について~持続可能な水循環に生かされている私たち~」を提示(送付)。
<前段として熊本の基本をお伝えする>
熊本への企業進出は豊かな地下水を求めての事ですが、熊本の地下水を生む環境は特有(奇跡的)な事で、元々は阿蘇の火山活動が溶岩を有明海まで流し、細かい穴が開いた(軽石の様なポーラス状の)溶岩層を作り、そこに地下水が蓄えられます。
その上にまた阿蘇の火山灰が堆積して「ザル田」と言われる非常に浸透性の高い土壌を生みました。これらによって豊富な地下水が蓄えられる事になりました。
また、秀吉からこの地を任され、石高を上げたかった加藤清正がその地層の上を開梱して阿蘇から流れる白川から堰(用水路)を作り、水田(農地)を増やしたことも要因となっています。
その白川の水は、全国平均の1.5倍の雨が熊本地域には降りますが、さらに白川上流の阿蘇地域はその1.5倍の雨量があり、その豊富な水量が源となっています。(全国平均の約2倍)
お昼の飛行機で帰られるという事だったので、以下のルートで現地をご案内しながら車中でご説明し、空港までお送りしました。(この日も雨模様)
・TSMC工場周辺(TSMC第1工場、第2工場予定地、SONY第1工場、第2工場建設中)
・地下水涵養の最上流であり、冬期湛水を始めた瀬田地区。
・地下水路を辿りながら、下流の湧水地帯(サントリー工場、嘉島の湧水プール、浮島さん)
後日、お礼と宮城の状況についてご連絡あり。一部を抜粋して記載します。情報公開や住民の皆さんとの対応が進む事を願います。
<前略>
水がどれほど重要であるか、を実感できる体験になりました。我が地域では、どうするつもりなのか、いろいろ調べましたら、やはり現在の工業用水だけでは全く足りなくて、わが町の水源を整えることが必要だとのこと。私が今住んでいる町は、奥羽山脈の源、世界農業遺産の水源なのです。排水は、太平洋に注がれることになります。地域的には、米どころの農業遺産。農家の方々との折り合い、協働が必須だということを実感いたしました。