「くまもと未来エネルギーファンド」の開設(名称変更)につきまして

私たち、くまもと未来ネット(旧環境ネットワークくまもと)は、「地域のエネルギーは地域へ還元する」を理念に、自然エネルギー創造事業を展開して来ました。太陽光による市民共同発電所をこれまでに8基立上げ、継続的に取り組んでまいりました。市民の皆様にも「かんくまおひさまファンド」という名称でご寄付をお願いし、これらの設置事業を支援して参りました。
(旧振込み資料へのリンクはこちら名称変更後のものは郵貯の承認後に改めてご連絡します

Solar Low power plant 8

しかしながら、人の活動からのCO2排出で地球環境に変化が生じている可能性は顕著になり、多くの農林業水産の現場や学術観察の現場から提供されている変化(異常)の報告や、自らの生活体験的にも強く感じています。季節を問わなくなった台風の襲来と規模の強大化、雨量も規模も大きくなり2020年7月の球磨人吉地域の豪雨災害は記憶に新しいところです。森林火災も多く、「観測史上初」という言葉も繰り返し聞かれるようになりました。

様々な場面で言い尽くされているところですが、人類の活動による化石燃料由来の二酸化炭素排出は増加の一途であり、世界的に“脱炭素”社会が求められています。最近の傾向では、コロナ禍により経済活動が停滞したためCO2排出が大幅に減ったという記事がありました。コロナウィルスは問題ですが、皮肉にも人の活動がCO2排出(環境)に影響しているという事が明確になりました。

エネルギーを化石燃料へ依存している事=CO2の発生に繋がっています。それは資源のない日本においては外国からの輸入と言う事であり、今回のウクライナ、ロシア、EUの各国間のエネルギー問題とも無関係ではありません。エネルギーの外部依存は、経済問題や紛争に巻き込まれていくという事にも繋がり、安全や生存が脅かされる可能性があります。個人の家庭も企業もカーボンニュートラルを追う事で、新しいライフスタイルや英知を得て、安心・安全で持続可能な生活を目指したいと考えます。

すでに工場や事業所からの産業廃棄物は、廃棄後のトレーサビリティが義務付けられている時代です。今後調達するエネルギー(電気)は、何を原料としてどこでどの様に生産されたのか、SDGsを意識し、認証を確認して購入する時代ではないかと考えます。

私たちは、太陽光に限定せず様々な再生可能エネルギーへ取組む様に、口座の名称を「くまもと未来エネルギーファンド」へ変更し、再生可能エネルギーの普及と社会活動の地域循環の実現に努力して参ります。引き続き、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。(以下に、熊本でも可能な注目の新エネルギー源と言う事で参考資料をまとめました。ご参照いただければ幸いです)

注目の新エネルギー源①地熱
 ▼熊本の地熱エネルギー:小国わいた地区
注目の新エネルギー源②地中熱
 ▼パッシブ地中熱について:GEOパワーシステム

 

◆注目の新エネルギー①:地熱
非常に高いポテンシャルがあり、国産で持続可能なエネルギーは地熱であろうと考えます。日本は世界第3位の豊富な地熱資源量を持っており、地熱発電は、CO2排出量がほぼゼロで、持続的に発電が可能な再生可能エネルギーであり、天候などの自然条件に左右されず安定的に発電できる「ベースロード電源」でもあります。また、発電に使用した熱水がハウス栽培などに利用できるなど、地域経済へのメリットも。実際に導入されている発電設備容量は、現在約60万kWにとどまっており、資源量に対する割合からすると、世界的に見ても少ない状況です。

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目に見えない地下資源であり、開発にかかるコストやリスクが高く、地元資源への影響や法規制など課題は多いのですが、国は2030年に現在の2倍以上の目標を定め、積極的な導入を目指しています。

個人としても、温泉などを積極的に利用する事で、家での電気や化石燃料エネルギーを減らし、かつ健康増進が図れれば、素晴らしいと思います。(温泉×ワーケーションとして企業でも積極的な導入を検討すべきと思います)

▼熊本の地熱エネルギー:小国わいた地区
熊本県は阿蘇地域を中心に豊富な地熱源を持っています。例えば古くから温泉熱を使った地域として小国町のわいた地区があり、日本で初めて住民主体でつくられた、小規模の地熱発電所があります。この発電所は2015年に商用発電を開始しましたが熊本地震で被災し温泉井戸が破損しました。その後クラウドファンディングで資金を調達し、新たな地熱井戸を掘る事が出来ています。
熊本県は、「未来型エネルギーのトップランナー」を目指し、平成24年10月に、「熊本県総合エネルギー計画」を策定しています。新エネルギーの導入加速化、省エネルギーの推進強化をはじめ、様々な取組みを進めることとしており、地熱発電は、この新エネルギーの一つに位置付けられています。
地熱発電は、天候に左右されず24時間発電できるというメリットがあります。また、県内では阿蘇地域を中心に地熱の資源に恵まれており、その活用が期待されています。
地熱発電は、温泉が枯渇するなどの懸念があり、地元の理解が必要不可欠な事業であるため、県では、2012年8月に国や県、地元市町村、温泉組合、観光協会、住民代表、有識者及び事業者が参加する「熊本県地熱・温泉熱研究会」を設置しました。会議やワークショップを重ね、関係者の相互理解と地熱・温泉熱の活用についての理解を深めており、小国町及び南阿蘇村において、地熱・温泉熱発電の事業化の動きが始まっています。

▼地熱発電で年間6億円の収入を―熊本県・小国町の住民30人が合同会社で事業化―
 https://www.renewable-ei.org/column_r/REapplication_20170725.php
▼南阿蘇村湯の谷で、地熱発電所の建設(2022年11月稼働予定)
 https://www.vill.minamiaso.lg.jp/kiji0031308/index.html

 

◆注目の新エネルギー②:地中熱
地中熱とは、浅い地盤中に存在する低温の熱エネルギーの事です。大気の温度に対して、地中の温度は地下10~15mの深さになると、年間を通して温度の変化が見られなくなります。そのため、夏場は外気温よりも地中温度が低く、冬場は外気温よりも地中温度が高いことから、この温度差を利用して効率的な冷暖房等を行います。
<特長>
1.空気熱源ヒートポンプ(エアコン)が利用できない外気温-15℃以下の環境でも利用可能
2.放熱用室外機がなく、稼働時騒音が非常に小さい
3.地中熱交換器は密閉式なので、環境汚染の心配がない
4.冷暖房に熱を屋外に放出しないため、ヒートアイランド現象の元になりにくい
課題としては、設備導入(井戸掘削費用等)に係る初期コストが高く、設備費用の回収期間が長くなる。以下に導入事例(企業など大規模な事例)をいくつか記載します。注目は、重油やガス、灯油などの化石燃料から転換が出来ている点です。

〇鈴廣かまぼこ株式会社 鈴廣かまぼこ惠水工場
省エネ、再生可能エネの導入をすすめる本事業所において、新たに地中熱利用による空調設備を導入。既設のガス焚冷温水発生器からの燃料転換。同工場内事務所(1,500m²)および製品包装作業所(500m²)の空調を賄う。

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大和電機工業株式会社 松本事業所 第7工場
松本事業所 第7工場への地中熱利用による空調設備導入。既設の重油焚温水発生器からの燃料転換。同工場(1,000m²)の空調を100%賄う。

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有限会社ゆの香 奥日光 ゆの森
温泉施設 湯元ゆの森への地中熱利用による給湯・空調設備導入。既設の灯油ボイラーからの燃料転換。同施設(400m²)の空調を100%賄う。

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▼パッシブ地中熱について〈環境大臣賞受賞のパッシブ技術:GEOパワーシステム〉
パッシブとは、「能動的な」アクティブに対して「受動的な」という意味で、自然の力をそのまま利用する手法です。「パッシブ建築」「パッシブソーラーシステム」など、建築業界でも環境問題(エコ)を考える上で「パッシブ」(エネルギーや動力などを用いないシンプルな構造)が重要なキーワードになっています。「GEOパワーシステム」は、地中熱利用システムの中でも世界でひとつの「パッシブ」技術を利用した地中熱利用システムとして注目されています。「地下5m」の夏涼しく冬ほんのり暖かい地中熱をそのまま利用します。また、「夏場は夜間冷気を取り入れる」「冬場は日中の日射熱を取りこむ」など様々な「パッシブ」技術を取り入れています。外断熱の仕組みとかけあわせることで、より地中熱の家の効果が発揮されます。
それまで冷暖房に使って来た、化石燃料を元にしたエネルギー(電気、灯油、重油、ガス等)が不要もしくは大幅に削減されるということは、ランニングコスト削減と言う経済効果も期待できます。
熊本地域では「建吉組」がこの地中熱システムを展開しており、体育館や学校や病院など、実に多くの導入事例がある事を知りました。熊本でも事業所や公共施設などで、省エネとSDGs(持続可能性の向上)を目指して導入が広がる事を期待したいと思います。
 GEOパワーシステムの導入事例 https://www.tateyosi.co.jp/work_cat/geo/