国の減反政策等により、熊本の重要な地下水の涵養地帯である白川中流域でも、コメの生産が減少した結果、10年で20%もの地下水の減少(江津湖の地下水位)が確認されていた矢先に、SONYの半導体工場が熊本へ進出する話がありました。
当時、ネットワークから上記の環境変化(悪化)を得て懸念していた私たち(旧環境ネットワークくまもと:私たちの前身)は、2001年にSONYへ公開質問状を送り、工場の環境負荷の情報公開を求めました。SONYからの真摯な回答があり、協働で2003年より地下水涵養プロジェクトがスタートしました。(現在も涵養継続中)
今回、TSMC(JASM)の熊本進出が決まり来春からの稼働が計画されています。徐々にですがマスコミ経由で地下水の取水量等の環境負荷が明らかになって来ました。2001年当時の環境負荷増大(危機)の再来として注目を続けています。
県や業界はマスコミ経由で経済効果等の情報を数多く流し、ネット上では様々な問題の指摘があり、当会にもいくつかの質問等が来ています。中には極端な陰謀論的な物もありますが、出来る限りの調査をして情報を整理し提供しています。
また、2001年の活動開始時に設立され関係者が集う「豊かな地下水を育むネットワーク」(私たちも運営委員で参加)で、この問題は協議が継続されており、この場で具体的な対応策が出てくることが良いと考えています。
白川中流域での冬季湛水が始まる
大津「瀬田地区水田涵養協議会」が設立され、関係者の提案による白川中流域での冬季湛水事業が開始されました。6.7hr×5カ月で100万トン以上の推定ですが、JAMSが提示した地下水使用計画(年間)の310万2500トンにはまだまだ足りません。SONYの第2工場、TSMCの第2工場の稼働を考えると、次の一手を考える必要があります。
元々の白川中流域が涵養する潜在能力は高いものがありますが、それを引き出すには、白川中流域の協力農家さんが農業経営を継続できる環境を整える事です。また、受益者である熊本市周辺の市民が地下水を涵養した農産物を消費して支える継続的な仕組みを構築する必要があります。
また当会は、熊本県の「地下水と土を育む農業推進県民会議」の委員として会議に参加しています。そこでの動向を踏まえ、引き続きこの問題を注視し、提言や報告を続けます。