「みなまた甘夏おひさま発電所」を老朽化のため撤去しました

 くまもと未来ネットは、旧環境ネットワークくまもと当時から、温暖化ガス削減の活動の一環として「市民共同発電所」の設置に継続して取り組んで来ました。第1号の北部病院屋上(2004年4月)から始まり、2014年の第8号、火の君文化センター屋上(熊本市の公共施設の屋根貸し事業)まで支援・設置をしてきました。(以下の表をご参照下さい)

ohisama project list

 ここ数年は、農地の上に設置する、降り注ぐ太陽光を農業と発電にシェアする「ソーラーシェアリング」事業へ取組んでおりましたが、コロナ禍における人流や物流の停滞や資材高騰に加え、(原子力や火力発電を優先する)再生可能エネルギー(太陽光発電)の出力制御も始まり、採算が取れないため、許認可まで進めていた4カ所について断念せざるを得なくなりました。これからの可能性を惜しみながら、2023年にソーラーシェアリング事業から撤退しました。

 さて、太陽光発電は施設ですので時間の経過と共に老朽化し、いつかは廃棄物になります。私たちは市民が手の届く低圧(50kW未満)の規模で市民共同発電所へ取組んで来ましたが、その最終段階の撤去と廃棄まできちんと実施する事が必要です。

 自社で所有する第1号の発電所「水俣あまなつ発電所」(10kW:水俣市の福田農場様の加工工場の屋根をお借りして設置)がFITを終え老朽化が進みましたので、撤去の検討を続けて来ました。2024年3月30日に撤去を実施しましたので、設置当時の経過も含めてご報告致します。

amanatsu PV

〇福田農場の加工工場屋根をお借りして

 先代の代表(故)福田興次氏のご理解とご協力により、加工工場の屋根をお借りする事が出来ました。工場では多くの電気を使うため、ほとんどは工場での自己消費となり売電は休日のごくわずかという形で、2010年3月の設置から2024年3月まで、14年間、大きな問題もなく稼働を続けました。福田農場様には長期のご支援をありがとうございました。

〇リユースパネルの発電所(当時:全国初)

 「みなまた甘夏おひさま発電所」は、尚絅大学教授で熊本大学名誉教授(当時)の石原修氏より、大学で実験・計測を行っていたパネル180枚の譲渡を受け、専門家の指導の下、市民がワークショップで一部作業を行い、眠っていた太陽電池を甦らせました。

amanatsu workshop

 設置した太陽光パネルは、当時の石原教授から寄せられた文書によれば、以下の経歴を持ったものです。

一甘夏発電所で稼働中のPVパネルは、由緒ある代物です。90枚使用しているシャープ製のPVパネルは、国と四国電力が愛媛県西条市で実施していた「西条太陽光試験発電所」での研究終了に伴う研究用無償配布を1995年頃私が受けたもので、製造年月は1986年1月です。78枚使用しているパネルは京セラ製で、これは国と関西電力が六甲アイランドで実施していたプロジェクト終了に伴い、無償配布を受けたもので、製造年月は19991年12月です。2種類のパネル共に20~25年が経過しておりますが、これからはPVの寿命が如何に長いかの耐久試験になります。(抜粋)

 さらに「みなまた甘夏おひさま発電所」での14年で、シャープ製は38年が経過し、京セラ製は33年が経過しています。(撤去時にも正常に動作していたことを確認しています)

fukuda farm sakura

〇太陽に(最後まで)協力をもらった発電所の撤去作業

 当日の朝、撤去依頼先のイマココ電力(連絡先は最下段へ記載)の佐藤氏、太陽光の設置や撤去を行う業者さん達と水俣の現地に集合。雨の予報も一転し快晴となりました。沿線には桜も開花し多くの観光旅行客が訪れていました。工場が稼働していない休日での作業です。業者さん達は経験も多く、撤去に際し(仮称)撤去班と電気工事班に分かれて並行作業を進めました。

paneru test in loof

 分電盤の作業と屋根側の作業はスマホで連絡しながら、簡易検査装置で検査し、効率の良いものの中から外観も良いものをシャープ、京セラ製それぞれ10枚ほどを選別しました。(これらは行けるところまで活用できれば耐久性の確認ができるかもしれません)

soler panel old

 残りのパネルは撤去班がパレットに積み重ねて積載しました。これらは後日、廃パネルの処分場へ運ばれて再資源化されます。(再資源化の工程については別記事で報告します)

 屋根に取り付けられていたフレームはボルトを外して撤去し、金属のリサイクル処理へ。撤去班の方々は、全て外した屋根(パネル裏側)に長年たまっていた木の葉や枝等をホウキで清掃していました。また、パワコンやその他の機器については長年使用しており、そのまま再利用が困難なため、撤去後、電子機器としての廃棄処理となりました。

haiki panel

 さて、太陽光パネルの廃棄については、今後のFIT後に大量に廃棄され社会問題になると警告する意見があります。また、太陽光パネルには有害物質が含まれ、環境を汚染するという意見もあります。私たちは、旧「産業廃棄物を考える熊本連絡会」と共に、幾度となく産業廃棄物の不法投棄現場へも足を運び、循環型社会の構築を目指して活動をして来ました。私たちが廃棄したパネルが問題を起こさぬように、現時点で出来るだけ問題の無い処理を進めたいと思い、処理委託先の再資源化工場の工程を確認しましたので、以下にご報告します。

◆廃パネル処理(再資源化)工程を確認しました(リンク)

 

今回の撤去作業の委託先

◆イマココ電力(アクティブデザイン株式会社・エネルギー事業部)

 〒862-0963 熊本市南区出仲間2-8-7
 TEL 096-379-5503 FAX 096-379-5570
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