廃パネル処理(再資源化)工程を確認しました

 太陽光パネルの廃棄については、今後のFIT後に大量に廃棄され社会問題になると警告する意見があります。また、太陽光パネルには有害物質が含まれ、環境を汚染するという意見もあります。私たちは、旧「産業廃棄物を考える熊本連絡会」と共に、幾度となく産業廃棄物の不法投棄現場へも足を運び、循環型社会の構築を目指して活動をして来ました。私たちが廃棄したパネルが問題を起こさぬように、現時点で出来るだけ問題の無い処理を進めたいと思い、処理委託先の再資源化工場の工程を確認しましたので、以下にご報告します。

 先ず、工程理解のために、太陽光パネルの基本構造を示します。

094 02

 みなまた甘夏おひさま発電所より撤去した廃パネルについて、処理依頼先の再資源化工場(みやま市)へ。みやま市は多くが平坦な土地で、再生可能エネルギーに積極的に取り組んでいる自治体です。東側の山手の方に進みます。くまもと未来ネットから数名、撤去作業全般の依頼先のイマココ電力さんも参加しました。処理の依頼先、大坪GSI株式会社の椛島部長、野田工場長にご対応いただきました。

haipanerl01 tent1

 事務所の左奥側に大きなテント屋根の工場がありました。その中に入って手前は、運び込まれた廃パネルの置き場です。みなまた甘夏おひさま発電所のパネルもここへ運び込まれました。(期日と時間的に私たちの分はすでに処理は終わっていました)

 受光面を下に向けて置いてありましたが、受光面を上に向けると太陽光を受けて発熱(発電)するので安全対策でとの事でした。現場ならではの対応だと思います。

haipanerl02 panelokiba

 

◆工程①:パネル周囲のフレームを外す

 パネル周囲のフレームは軽量化のためアルミが使用され、シール材で接着されている。右奥の専用機械で物理的に剥がす。力が掛かるがガラスが割れない様にすること(力加減)が求められる。この時点でパネル背面の端子ボックスも、外される。現在のパネルは一枚が広くなる傾向にあり、かなり古い私たちのパネルはこの専用機では小さすぎて、手作業も加えて処理したとの事。

haipanerl03 flame reject

haipanerl04 flame reject2

 

◆工程②:強化ガラスを回路部シートから分離して破砕する

 光をクリアに通し、かつ長期間太陽にさらされる受光面は強化ガラスでカバーされている。(強度も厚みも重量もある部分)奥中央の専用機で、ガラス面を粉砕しつつ回路部シートを分離する。粉砕されたガラスは米つぶ程度の大きさになりパレットへ。(粉砕されたガラスは隣の再資源化工場へ)

haipanerl05 glass reject1

haipanerl06 glass reject2

haipanerl07 glass reject3

 大坪GSI株式会社が、ここに太陽光廃パネル専用の工場を開設した大きな理由が、隣に以前よりガラスのリサイクル工場を稼働していたためで、分離し粉砕された強化ガラスは、道向かいのガラスリサイクル工場の原料の一部となっている。(ガラス工場は後半に確認)

 

◆工程③:発電回路シートを粉砕する

 向かって左側の専用機で、発電回路シート等(②の残り、セル、内部の接続回路、バックカバー、充填剤等)を粉砕しフレコンバッグへ充填する。シリコンや回路を構成する貴金属類はこの粉砕されたものに含まれるが、ここの工場では、有価物として溶融炉での貴金属回収に回しているとの事だ。

haipanerl08 circuit crush1

haipanerl09 circuit crush2

haipanerl10 circuit crush3

haipanerl11 circuit crush4

haipanerl12 circuit crush5

 

 パネルの処理工程としては以上となりますが、引き続き、道向かいのガラスリサイクルの工程も確認しました。その工場の裏手には、粉砕されたガラスやビンが山の様にストックされていました。(一角は熊本市の飲み屋からとの説明があり、誰かが呑んだ空き瓶も来ている?)

haipanerl13 glass recycl1

haipanerl14 glass recycl2

 

 これらのガラスは粉砕され炉に投入されます。炉は900℃まで加熱されながら発泡を行います。発泡状態をコントロールし、ビンの色から3種、用途による重さ(大きさ)別の防犯砂利(商品)としてリサイクルされていました。(以下は後日検索した商品記事の一例)https://my-best.com/3667

haipanerl15 glass recycl3

haipanerl16 glass recycl4

haipanerl17 glass recycl5

haipanerl18 glass recycl6

以上で工程確認は終了しました。

 

 基本的には適切に処理され有用されている事を確認しました。途中や後工程で、もし故意があればリスクが全くない訳ではありませんが、基本的な工程は確認できたと思います。(不法投棄などの故意の問題はどの様な廃棄物でも起こる事なので、太陽光パネルの処理とは別に考える必要があると思います)

 また、私たちは意図してこのルートへ持ち込みましたが、コスト優先で考えれば、面倒なことをせずそのまま埋め立てを選ぶ廃棄者もいるでしょう。過去の廃棄物問題から現在はマニフェスト伝票の運用も義務付けられていますが、廃パネルが問題の無い工程、優良な業者へ行くように、分解技術の進展と共に法整備も(地方条例なども含め)進めなければならないと思います。

 

<会社情報>大坪GSI株式会社 ※今回処理を委託した企業
 〒839-0241 福岡県柳川市大和町徳益416(本社)
  TEL 0944-74-6811 FAX 0944-74-6812
  URL:http://www.ogsic.jp/
 〒835-0104 福岡県みやま市山川町河原内1438(ガラスリサイクル工場)

※以下は新工場開設のNews
 大坪GSI:太陽光パネルのリサイクル工場新設(2023年に新工場を開設
 https://www.pv-recycle.com/2023/04/16/ohtsubo-gsi-to-launch-pv-recycling-bisiness/
 https://pr-free.jp/2024/95594/